こちらも子どもに向けたお勧め本の棚に置かれていましたが、子どもが手に取る前に私が借りてしまいました。
本書のご紹介
本書の著者である大木トオルさんは、ブルースシンガーとして世界で活動する一方で、動物愛好家として捨て犬たちの救助とともにセラピードッグの育成に努めているとのことです。
また、表紙をめくるとチロリの写真が出てきますが、その顔や胴長なスタイルからコーギーの血が入っているように思えます。
病気と戦うチロリの姿やもう自力で歩けないのか車椅子に乗った状態でセラピードッグとして活動する写真も。
さらに、東京の銀座にあるというチロリと子犬の銅像の写真も載っているのですが、銅像が作られるほどのヒトへの貢献があったのでしょうね。
読み進めるのが楽しみです。
↑ 私が読んだのはこちらですが、他に文庫版や漫画版もあるようです。
本書のあらすじ
チロリは出産した5匹の子犬とともに飼い主に捨てられました。
そのチロリたちに餌を与えてた小学生を通じ、著者もチロリを知ることになるのですが、保健所に捕まり、動物愛護センターであわや安楽死直前となったチロリを著者が救い出します。
その後、子犬の方はすべて引き取り手が決まり、チロリも一旦は引き取り手が見つかったものの、事情により著者の手元に戻り、著者はチロリを自身が営むケンネル(犬舎)に預けることにします。
このケンネルには体の大きなシベリアンハスキーが何頭もおり、最初はおびえていたのですが、やがて天性の気性の強さをもつチロリはハスキーたちを従えるほどに成長。
また、ここでアメリカでセラピードッグとして活躍していたハスキーと出会い、やがてチロリ自身もセラピードッグとしての才能を見出されることになるのです。
セラピードッグになるための教育課程は45教科もあるそうです(国際セラピードッグ協会の場合)。
これを通常は2年以上掛けて犬に学ばせるのですが、チロリはなんと半年ですべてをクリア。
相当優秀な犬だったのですね。
なお、訓練の当初、チロリは杖にひどく怯えたそうです(訓練の中には杖をついて歩く人と歩調を合わせるものがあるそう)。
チロリは後ろ足に障がいがあり、著者は以前の飼い主に棒で強く何度も叩かれ続けられたからと推測しますが、そんな飼い主がいるのは悲しいことですね。
こうして優秀な成績で教育課程を終えたチロリは、日本で最初のセラピードッグとなったのです。
その後のチロリの活躍は素晴らしいものでした。
引きこもりだった中学生を元気づけて将来への希望を抱かせ、車椅子生活でもう自力で立てなかった老人を立ち上がらせ、さらに歩行させたり。
相手の中にはいじわるな人や認知症の人がおり、チロリに乱暴な振る舞いをする人もいたのですが、それにもおとなしく耐えて愛情を振りまき、やがてその人たちもチロリに心を開いていきました。
こうして8年間、チロリは人々の心を癒やし続けたのです。
本書を読んだ感想
チロリを捨てた飼い主もヒト、安楽死からチロリを救ったのもヒト、チロリから勇気や幸せを与えられたのもヒト。
私たち人間が犬を振り回していると言えるのかもしれませんね。
著者は本書で「これ以上、犬を殺さないで」とのタイトルで、私たち人間の都合によって犬が殺処分されることがないよう訴えています。
これは犬に限らず、ペットを飼っている人たちが重く受け止めるべきことですよね。
私と同じアパート(ペット不可)の住民は、こっそり付近の猫たちを部屋に招き入れ餌を与えています。
まあ、部屋の中でずっと飼っている訳ではなく、餌だけを室内で与えているだけであり、廊下などに糞を撒き散らすわけでもないので今のところはスルーしていますが、どうしたものでしょう。
とにかく、多くのペットはチロリのように飼い主や周囲の人々に愛情を振りまいてくれるのですから、私たちもそれ以上の愛情を注がなかればならないということですね。
良い本でした。
ちなみに、こちらは先日アップした、盲目で生まれセラピー犬として人々を癒やしてくれた犬の物語です。未読の方は是非とも読んでみて下さい。
今回紹介した本。
小さいお子様にはこちらが良いかも。
ずっと低迷というか下降しておりますので、よろしければクリックを!
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