年を取って痛感していますが、若い頃にやっておくべきだったことのひとつが世界放浪の旅でしたね。
本書のご紹介
著者である中西大輔さんは1970年生まれで、大学卒業後は大手住宅メーカーで6年弱働いた後、28歳で自転車世界一周の旅に出掛けます。
そして、130カ国、15万キロを11年かけて自転車で走破し、「地球体験ペダリアン大賞」や「植村直己冒険賞」を受賞しています。
ホームページなど探しましたが、以前のものは削除されており、最近の動静は分かりませんでした。
本書を読んだ感想
本章は、第1章「世界一周自転車旅へ出発」、第2章「西ヨーロッパ」、第3章「アフリカ」、第4章「東南アジア、オーストラリア、南米、北米」、第5章「再び西ヨーロッパへ」の全5章で構成されています。
第1章ですが、スタートのアラスカ州から南に下ってペルーまでの旅となります。
アメリカは漠然とでもイメージができますが、やはり中米の緊張感はすごいですね。
著者はJACC(日本アドベンチャー・サイクリストクラブ)に所属しており、自身だけでなく他の会員が世界中で築いてきた人間関係をツテとして、各国の協力者から温かい支援を得ているのですが、何のツテもなく誰からもサポートを受けずに危険な中米を通過するのは極めて困難で危険でしょう。
学生の頃に既に何度も自転車による海外旅行(放浪)を経験していることも活きていますね。
つくづく学生時代を無為に過ごしてしまったことを後悔します。
第2章は西ヨーロッパ編で、スウェーデンの空港職員の冷たい態度は残念ですが、これまでに親交を築いた人たちとの縁で比較的、楽しい旅を過ごしたように感じました。
また、ドイツ人も認めるチェコのビールを飲みたくなりましたね。
第3章はアフリカ編で、とにかく大変そう。
地雷、強盗集団、賄賂を要求しまくる官憲などなど。
欧米人ぐらいガタイがデカければ対抗できるかもしれませんが、日本人的な小柄な自分だと何も言い返せず求められるままに支払うことは必至。
まあ、金で済む問題ならまだマシですが、地雷もあって治安も悪い以上、絶対、アフリカは無理ですね。
第4章は、東南アジア、オーストラリア、南米、北米編です。
タイは日本人に人気があることが分かりますが、カンボジアは微妙ですね。
アンコールワットを見たら十分ということでしょうか。
個人的に気になるオーストラリアやニュージーランドも英語さえできればなんとかなりそうな気がしました。
アルゼンチンやチリにも興味が持てましたので、是非とも現地の日本人宿を訪れてみたいですし、南米最高峰のアコンカグアも拝みたい、できれば登ってみたいと思いました。
なお、著者がチリ滞在中に泊まった宿のオーナーが口にした「人生でもっとも大切なことはいま、その場所にいるということ。過去や未来でなく、常に充実したいまを楽しむこと。」という言葉が私の胸に響きました。
また、著者はアメリカでの旅でカーター元大統領やアントニオ猪木さんと会っていますが、これだけの人物と意外と簡単に会えるものなのかと驚きました。
第5章は再び西ヨーロッパ編となります。
当初の最終目的地であったカナダのケベック州に到達し、日本に帰国するか迷った著者は旅の友人に導かれる感じでヨーロッパへ再び渡ります。
モンブランの登頂を果たしていますが羨ましいですね。
ロシアや旧ユーゴスラビアなどは読んでいるだけで何か緊張してしまいます。
エチオピアなど貧しい国で子供だけでなく大人からも「何かくれ」「金をくれ」としつこくせがまれるのも精神的にきそう。
そういう場に身を置くことで何か得ることもあるのかもしれませんが、人生の糧にはできないと思います。
中国や韓国ですが、本書を読む限りでは訪れたいと思いました。
特に中国は日本を超える近代化を果たした都会と、昔のイメージのままである田舎とのギャップを体感したい気がします。
しかし、どちらも日本人に対する感情、いわゆる反日感情が懸念要素ですね。
さいごに
この旅は著者が20代から30代にかけてのもの。
40歳になるころに日本の社会に戻ってきて、その後どう過ごしてきたのか。
50代になった今、何をしているのか。
また自転車の旅をしたいという願望の言葉で本書は締められていますが、果たして新たな旅に出ることは出来たのでしょうか。
とても気になりますね。
とにかく、良い刺激を受けました。
私は海外には1回しか行ったことがなく、しかもパックツアーだったので観光名所を回ったくらいで、すでにほとんど記憶から消えてしまっています。
上辺だけなぞる旅なんてその程度なんでしょうね。
チャンスがあれば海外のロングトレイルなどを歩きたいと思っていますが、先ずは気力体力の向上、遠征資金の確保、さらにせめて英語を片言でも話せるようになるなど課題は沢山あります。
もう、若くないし体がまともに動く時間も限られていますので、ちょっと体に鞭打ってでも前に進まないと行けないと本書に背中を押してもらった気がします。
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