著者は2022年2月5日にお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りします。
本書のご紹介
本書の著者は、芥川賞作家の西村賢太さんです。
芥川賞受賞時のインタビューは印象にありますが、氏の著書を読むのは本書が初めてです。
長生きしないタイプだと思っていましたが、お若くして亡くなられて残念です。
本書が面白ければ、氏の小説を読んでみたいと思います。
本書(キンドル版)です。
本書を読んだ感想
他人の日記を読むという感覚が、罪悪感もありつつ、それ以上に高揚感を感じてしまいますね。(もちろん、書籍化し、読まれることを前提に書いている訳ですが・・・)
本書を書かれている時点の著者は、作家として名が売れ、連載やテレビ出演等もあり、ある程度の仕事があり、相応の収入がある状態なのでしょう。
居酒屋や蕎麦屋などで美味しそうな料理を食べたりもしていますが、自宅では「黄桜辛口」「カルピスサワー」「宝焼酎」などのおなじみ酒や、「緑のたぬき」「ペヤングソース焼きそば」「サッポロ一番”塩”」など独り者定番の食事をとっていることを知り、ちょっと驚きというか感動しました。
また、ちょくちょく出てくる「手製の鶏鍋」が気になります。
どんなものなのでしょうか。
締めとして残り汁でおじやにしたり、麺を投入されていますが、鶏の出汁が効いて美味しそうです。
「錦松梅」も何度も出てくるので興味津々・。
もちろん、著者の食生活を知れることだけが面白いのではありません。
本業の作家としての苦悩なども伺うことができます。
ペースが良くてごきげんだったり、筆が進まず(「はかがゆかず(はかどらない)という言葉を初めて知りました」)焦りや苦悩する様子、さらに筆が進まず、せっかくの連載依頼に”白旗”を降って、断念したこともあったことがわかりました。
また、忙しい著者が、仕事や飲酒などの合間にどんな書籍を読んでいたのかがわかるのも楽しいですね。
まあ、本書に出てくる著者もタイトルも分からないものばかりなのですが。 ^^;)
その他、編集者だけでなく、玉袋筋太郎氏や宇多丸氏、水道橋博士氏などの交流もあったのですね。
その一方で、とある編集長を実名で馬鹿呼ばわりし批判しまくっているのもすごいです。
さらに、ちょくちょく出てくる「買淫」というワードも、まさに著者らしいという感じでした。
さいごに
正直、日記を残してそれが本になってお金がもらえたら最高ですね。
著者は時代の寵児的な作家ではなかったと思いますが、それでも著者を支援する編集者がいたり、著書を愛する読者がいたようです。
そして、著者自身も、「自分には作家としての道しかない」という覚悟があり、身を削って執筆に挑むという真摯な態度を感じ取りました。
やはり、成功するため結果を遺すためには、何事も突き抜けないと駄目ということですね。
私も毎日ブログを更新していますが、それらに全力を出しているか、記事のために心血を注いでいるかと言われると、正直、「決して全力ではなく、かなり、かなり適当でした」と言い訳するしかありません。
私もろくな生活を送っていないので、早死するでしょう。
そして、私に残るのは・・・・何もありません。
著者なら、これまで出版してきた著書がほぼ永遠に残り、読んだ数多くの人々の記憶に残るはずです。
また、結婚して家庭を持った人は、多くの場合、子供も生まれるでしょうし、子供の世代に自分の生き様を印象付け、記録を遺すことも出来るでしょう。
その中で私は・・・。
結論としては「ブロガーとしては出来るだけ多くの記事を残し、多くの人に読んでもらい、記憶にとどめてもらうこと」が、生きた証となるような気がします。
本書(キンドル版)です。
芥川賞受賞作の『苦役列車』です。近いうちに書評記事をあげます。
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