【セミリタイア生活と読書】村上春樹『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』を読んで

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 お酒を断とうと考えている今日このごろ。
 これを読んでも耐えられるならやめられる気がします。

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本書のご案内

本の写真

 本書の著者は村上春樹さんです。

 私も若い頃に何冊か読んだことがあります。

 それにしても、もうノーベル文学賞候補ではなくなったのでしょうか。

本書を読んだ感想

 文章を読み進めながらページをめくると、文章をぶった切る感じで蒸溜所や周辺の風景写真が挿入され、またページをめくると文章の続きとなる構成なのですが、まったく馴染めませんでした。

 これってどうなんでしょう?

 個人の好みの問題でしかないのでしょうが、文章は文章としてちゃんと最後まで読ませて、最後に写真を連ねたほうが圧倒的に好きです。

 文の途中でいきなり写真を見せられ、それからページをめくったら文章の途中からまた始まるなんて、個人的にかなり読みづらく、それまで綴られてきた内容がどんなものだったか思い出すのに苦労させられる構成の本でした。

 それが非常に残念な本です。(私の感性が乏しいだけかもしれませんが)

 さて、本書で著者は先ずアイラ島を訪れ、「アイラのシングル・モルト・ウィスキー」を堪能します。

 いきなり挿入される写真に邪魔され、よく内容が伝わってきませんでしたが、著者がとある小さなパブにおいて、アイラ島にある7つの蒸留酒でつくられるシングル・モルト・ウィスキーを注いだグラスを並べ、ひとつひとつテイスティングするシーンは素敵でした。

 著者が飲んだのは最低でも12年モノで、最長は20年モノです。

 なお、20年モノを「最高」ではなく「最長」と記したのは、本書で、ラフロイグ蒸溜所のマネージャーが 「多くの人は年数の多いほどシングル・モルトはうまいと思いがちだ。でもそんなことはない。年月が得るものもあり、年月が失うものもある。(中略)それはただ個性の違いに過ぎない」と語った様子が記載されていたから。

 深いですね。

 ちなみに著者はこのように7種のアイラ・ウィスキーを味わうのですが、私が知っていたのは半分以下の3銘柄だけでした。

 アイラ・ウィスキーは久しく飲んでいませんが、初めて飲んだ時の「うへぇー」となったピート臭は今でも覚えています。

 また、本章で最後にボウモア蒸溜所の人が語った「いちばん最後にくるのは、人間なんだ。(略)人々のパーソナリティと暮らしぶりがこの味を造りあげている。」という言葉に感動し、もう一度アイラ・ウィスキーを飲んでみたくなりました。

 次の舞台はアイルランド。

 ここで、ウィスキーの飲み方について語られます。

 どうやら現地の方は、氷は無しで、ウィスキーと水道水を半々で割って飲むとのこと。

 はて、これが本式ですか。

 私の場合、指導してくれたのはスタンドバーのマスターでしたが、師曰く「ウイスキーは割ってはいけない、氷も入れてはいけない」ということで、今でも自宅での晩酌はストレートの一択です。

 サラリーマン時代は上司や同僚に合わせて水割りやハイボールなどを飲んだりもしましたが、ずっと罪悪感を感じていました。

 なお、本章(アイルランド編)では、くたびれた背広を美しくまとった老人がパブを訪れ、注文の声を発することなくお金だけをカウンターに差し出し、バーテンダーから提供されたタラモア・デューを静かに十数分で飲み干し、静かに去っていくシーンが描かれていますが、なんて素敵な情景でしょう。

 私もタラモア・デューを飲みたくなりましたが、果たして田舎のドラッグストアやディスカウントストアに置いてあるでしょうか。
 

 さいごに「あとがきにかえて」の中で、「酒というのは、それがどんな酒であっても、その産地で飲むのがいちばんうまいような気がする。それが造られた場所に近ければ近いほどいい。」と述べられています。

 私はこれまで良い酒とは無縁でしたし、ましてや蒸溜所などの製造元で飲んだこともありませんが、これまで数多くの良い酒を飲んできた著者がいうのですから正しいのでしょう。

 アイラ島などには行けないのでしょうが、とりあえず余市の蒸溜所に行って、美味しいウィスキーを飲んでみたいものです。

 

 本書が気に入ったら、これなんかどうでしょう。絶対に楽しめると思います。

 4000円を切る程度なら、出せないこともないですかね。


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