いつか自分の山を所有してみたいものです。
山を持つことの憧れ
以前の記事で書いたことがあるかもしれませんが、私がセミリタイアに関心を持つようになった頃に知ったワードが「Bライフ」でした。
安い土地を買って、自分で小屋を立て、そこでひっそり質素に暮らす感じでしょうか。
Bライフを目指す人の多くは余り社会に適応するのが難しい人が多いイメージで、当然所持金も乏しいので一般の街中にある土地などは購入出来ませんし、その社会で人間関係を構築、維持するのも困難です。
なので、自ずと人の少ない田舎の山林を購入することになります。
つまり、そんな感じの人が山を買うイコール社会からの逃避というイメージを持っていました。
しかし、時は流れ、いまではキャンプに興味のある人、林業に携わってみたい人、自然の中で子育てをしたり日常生活を送りたい人たちが積極的に山を購入するようになり、山林購入がひとつのムーブメントになっているようです。
私も以前は山を買い、簡素な小屋を建てることに憧れましたが、歳とともに気力も体力も失ってしまい、資産もあまり減らしたくないので、もう実現することは叶わないようです。
ですが、今後何があるか分かりませんし、山を購入した成功者、勝利者の姿や考えを知って損になることはないでしょう。
そんな思いで読んでみます。
本書のご案内
本書は、「田舎暮しの本 特別編集」となっています。
確かに『田舎暮らしの本』というのを見掛けた覚えがありますし、昨今、コロナ禍でキャンプブームが訪れているので、そんな人たちをターゲットにした本なのでしょう。
表紙には「今買える山から、山の選び方、購入の基礎知識や手続き、管理方法まで」、「ソロキャン派も、ファミリーキャンプ派も必見! 山を買う魅力、徹底解剖!!」などと謳われており、ソロキャンプで有名になったバイキングの西村さんの顔写真も載っています。
本書を読んで役に立ちそうと思った箇所
本書を読み、役に立ちそうだと思ったものを列記すると
○バイキングの西村さんが購入したのは、455坪、諸費用込みで100万円ちょっと、固定資産税は年間380円
○保安林や市街化調整区域に指定されていると、原則的に新たな建築はできない
○地域森林計画の対象の森林は、自分の土地でも木の伐採には事前の届け出が必要(罰則あり)
○電気や水道などのインフラを整備しようとすると、山林の購入金額より高くなることも
○山を購入する場合、現金一括払いが一般的
○探す場合、①ネットの不動産サイト、地元の不動産業者、③森林組合、④競売物件、⑤直接地主に交渉
○固定資産税が安くても、山の管理を森林組合に依頼すれば相応の費用が掛かる
○井戸は掘削に数十万円掛かる上、水が出ないこともあるので沢から引くのが良い
という感じです。
本書の後半では。実際に山林個購入した7組が紹介されています。
購入面積、価格、購入の目的などが記されているのですが、購入価格を伏せている人が多いのが残念ですね。
とにかく、ここに出てくる人は皆、勝ち組の人たちばかり。
夫婦や家族の皆さん、とても幸せそうです。
そして、潤沢とも言えるお金を費やして、広大な土地を買い、重機や工具を駆使して山林を理想郷に変えています。
山林への思いは勉強になりますが、お金の使い方は正直、真似できません。
本書の後半は、刈り払い機やチェーンソーの使い方、焚き火のやり方、山林で取れる山菜やきのこの紹介などでページ数を稼いでいる感じでした。
本書を読んだ感想
実際に山林を購入しようと決意した人向けではなく、漠然と山林を買えたら良いなと思っている人向けの本ですね。
実際に山林を購入する際、色々と面倒な手続きを踏まなくてはなりませんが、本書ではその手続きに関しては軽く触れられている程度で、購入への意識付けやモチベーションの向上を目指している感じがします。
さて、本書を読んだ私は購入への熱意が高まったかというと、そんなことはありませんでした。
根っからの傍観者タイプとして、本書で紹介されている実際に山林を購入して家を立てた家族連れやキャンプ場を建設しようとしている夫婦の姿を見て、『幸せそうだな』、『頑張って欲しいな』と思うだけでした。
とりあえず、今の私に、重機を借りて操縦して樹木を切り倒し、土地を均して、税制上『住宅』と認定されないような山小屋の設計図を作り、基礎を固め、建築に従事する気力なんて無いことを再確認できただけでも読んだ価値がありました。
といって、完全に諦めた訳ではありません。
既に人の手が入ってある程度開けた状態の山林を借りるという手もありますし、田舎の、畑などの広い土地が付いた家屋を見付ける手も残っています。
山林バンクだけでなく、空き家バンクというのもありますからね。
「田舎は人付き合いが大変」というのは事実でしょうが、そこは何とかなるでしょう。
5年後、10年後、自分がどこで暮らしているのか楽しみです。
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