今回は久々の良書に出会えた予感がします。
本書のご紹介
いつものように図書館に行き、手前の子どもコーナーを過ぎようとしていたところ、オススメの本として本書に出会いました。
犬好きな私としては手に取らないわけにはいきませんでした。
著者はカナダに住むドッグトレーナーで、ボランティア団体に属して老人ホームや学校を犬たちとともに訪問しているとのこと。
そして、その著者が飼っているのが眼球がなく目の見えないゴールデンレトリバーのスマイリーです。
スマイリーについて
スマイリーはカナダにあるパピーミル(繁殖場)で生まれた犬です。
他の多くの繁殖場と同じで、ただ販売用の多くの子犬を繁殖させることだけが目的のため、そこで暮らする犬たちが快適であるかなど無視した劣悪な環境となっていましたが、著者たちにより他の犬とともに救い出されたのです。
救い出された犬たちは善良な飼い主に引き渡されるのですが、スマイリーだけは引き取り手がいません。
眼球がなく目が見えない上に、小人症という遺伝子による病気を抱えていたからです。
そのため、著者が引き取り育て上げることにしました。
人により粗末な扱いを受けて心に傷を負っている犬は、あたらしい飼い主である著者に心を開きません。
それでも辛抱強く愛情を与え続けたことでスマイリーは飼い主を信じるようになり、さらに天性ともいえる溢れるほどの愛情を周囲の人々に降り注ぎます。
やがてセラピー犬として認定されると、多くの子供や老人たちが盲目の犬から愛情を受け取りました。
さらにテレビなどのメディアにも紹介され、多くの国の人々がスマイリーを愛したのです。
本書を読んだ感想
予想どおり感動してしまいました。
人によっては、「介護犬や盲導犬、そしてセラピー犬は多くの心労を犬に与えて寿命を縮ませるからけしからん、人間のエゴだ」といいます。
人間と犬が得る幸せの総量を考えると決して悪くないと思うのですが、どうでしょう?
それも人間のエゴだと突っ込まれたら反論できませんが。
とにかく、本書は著者のスマイリーへの愛情や感謝の思いで溢れています。
スマイリーは当初、眼球はないもの周囲の組織は生きており、そこに毛が触れることで痛みを感じて苦しんでいたそうです。
そこで不快感を与えないように手術を行い、結果、スマイリーはいつも笑っているかのような表情になったのですが、本書に掲載されている写真を見ると、心から喜んで笑っているように見えます。
いろんなペットを飼っている人が多くおり、癒やされていると思いますが、ペットの方も(犬はとくに!)飼い主からの愛情を欲していることを忘れてはいけませんね。
最後、スマイリーはガンを患い、著者は安楽死を選択します。
ここに異論を挟む人がいるかも知れませんし「もういい、じゅうぶんだ」との声を聞いたとする著者に、それこそエゴだと反論する人もいるでしょうが、スマイリーを心から愛した著者の判断を私は尊重します。
スマイリーの動画が観られます
生前のスマイリーの様子がユーチューブで公開されています。
まだ小さい頃の映像もあり、スマイリーが子供や他の犬たちと遊んだり、湖を泳いだり、雪と戯れたりする映像がたくさんあって楽しめます。
目が見えないのに恐れもせず歩いたりはしゃく姿には感動です。
また、本書でも尻尾の振り過ぎで椎間板を痛めたというエピソードが出てきますが、動画を見ると確かにいつも嬉しそうに尻尾を振っていますね。
皆さんも癒されると思いますよ。
そして、ペットを飼っている方はさらに愛情を注ぎたくなるのではないでしょうか。
とにかく良い本でした。
児童書ではありますが、大人にも読んで欲しい本だと思います。
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