【セミリタイア生活と読書】原田ひ香『財布は踊る』を読んで

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 いやぁ、ものすごく面白かった!!

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著者のご紹介

本の写真

 本書の著者は原田ひ香さんです。

 先日、アマゾンでかなり評価の高い『三千円の使いかた』を紹介させてもらいましたが、悪くなかったので図書館にあった本書を予約しました。(人気のため先客が借りており予約して訳です)

 さて、本書ですが、アマゾンにおける評価の総数は少ないものの、点数は高いですね。

 正直、『三千円の使いかた』はアマゾンでの評価ほど感動を受けませんでしたが、こちらに期待しましょう!

  

 

 本書です。

 

本書のあらすじと読んだ感想

 本書は全六話構成です。
 なので、各話ごとに感想を。

【第一話・財布は疑う】

 第一話は主人公(専業主婦)が憧れのハワイで憧れのヴィトンの財布をゲットし、その後、夫のマネーリテラシーのなさで多額の借金を抱えていることが判明して財布を売却するという内容です。

 ハワイに行くため、財布を買うために主人公は2年半もの間、ずっと努力してきました。
 服などほとんど買わず、買う食品も19円のもやしや100グラム38~49円の鶏むね肉、1パック133円の卵など、まさに私が節約のために普段買っているのと同じレベルを選んでいます。

 そこまでして貯めて出掛けたハワイなのに、ゲットした財布なのに・・・。

 とにかく夫が残念です。
 社会人なのにリボ払い設定なっていることを知らなかったり、元本が減ることのない月々の支払いをサブスクと一緒と思ってしまう感覚には違和感を感じました。(現代人ぽいですけど)

 一方、主人公もどうでしょう。
 夫の借金が分かり、互いの親に頼ろうとしますが、この程度で頼らなければならない程度の預貯金しかないのに、目標のお金が貯まったからとハワイに入ったり財布を買ったりするなんて。

 旅行や贅沢品はもうちょっと資産を形成してからでしたね。
 若い、若い。(;^_^A


【第二話・財布は騙る】

 第二話の主人公は、主人公がメルカリに出品したヴィトンの財布を落札した男です。

 こいつが頭の悪いクズ野郎でした。(;^_^A

 小さい頃の家庭環境が悪かったのは本人のせいではありませんが、Fランの大学に入ったものの中退。

 以後、キャッチをやったり、サラ金などから金を借りてその場をしのぐ底辺生活を送ってきました。

 しかし、一発逆転したいという思いは強く、でも頭が悪いので、怪しいセミナーを受講したり、情報商材を購入したりと借金は膨らむばかり。

 終いには知人に裏切られて・・・。

 
 結局、楽して稼げないということですね。
 皆分かっているのに、つい甘い話に心が動くのが人の弱さでしょうか。
 私も気を付けないと!

 なお、既にこの時点で読み終えるのがもったいないので読み進めたくないという気になってます。

 

【第三話・財布は盗む】

 第三話の主人公は、第二話の主人公を裏切った男です。

 投資に目覚め、アベノミクスの恩恵もあって投資信託で資産を45万円から4000万円まで順調に増やしたまでは順調でした。

 ところが、株で億単位のお金を儲けたカリスマの言葉を妄信してしまい、投資信託も解約してカリスマがツイートする株に一点集中投資するスタイルに切り替えてしまいます。

 カリスマの予言は次々と的中し、主人公の資産もやがて5000万円に到達しそうなところまでいきますが、カリスマのツイートにすぐ反応できなかったために・・・。

 惜しかったですね。

 この主人公は特に浪費癖もなく、若い内から投資に目覚め、堅実な投資信託で順調に資産を形成できていたので、そのままで良かったはずです。

 でも、現実には自分よりもっと、もっと稼いでいる人たちが存在しており、そんな人たちと比べれば5000万円を目標にし地味に増やしていた自分がちっぽけに思えたのでしょう。

 実は私も一時期、「信用取引」に関心を持ち、勉強した時期がありました。
 結局、手を出しませんでしたが、私が投資を始めたのもちょうどアベノミクスの時代だったので、もしかすると今頃は億り人になっていたかも・・・。
 でも多分、この第三話の主人公と同様、破綻して落ちぶれていたでしょうね。(;^_^A

 なお、第三話の最後の方で、第一話の主人公が出てきて、売却してしまったヴィトンの財布と再会を果たしますが、悲しいかな、結局は手元には戻ってきません。
 お金さえあれば、夫が借金を抱えていなければ・・・。
 そして、第一話の主人公は、築年数は古いものの破格の一軒家に出会います。

 

【第四話・財布は悩む】

 第四話の主人公は女性風水師です。

 その主人公ですが、マジックテープ財布では金持ちになれない、風水を根拠とする色などこだわった良い財布を使えという内容の本を書いて人気を得て、雑誌に記事を連載しています。

 そして新たな記事を書いたのですが、その内容には決して許されない問題が含まれていたこと、また、主人公が怪しい風水セミナーを開催していることについて、編集長から激しい非難を受けることになります。

 ショックを受けたものの、実は風水を心から信じていなかった主人公は風水を捨て新たな人生をやり直すことを決意。

 その第一歩として、これまで使っていた財布を捨て、新たな財布を購入します。
 忘れ物市で売られていた、偶然にも自分と同じイニシャルが入っているヴィトンの財布を・・・。
 

 また、ここでも第一話の主人公が出てくるのですが、第三話で出会った一軒家を購入することになります。

 古く、駅までも遠いため夫は反対しますが、借金返済のために主人公や主人公の母親に大迷惑を掛けた夫に反論する権限はありません。

 そして、最後に第一話の主人公が野望実現に向けて夫に内緒で相当動いていること、今後夫にどう接していくのかの決意が明らかとなるのですが・・・怖い、かなり怖いです。
 

【第五話・財布は学ぶ】

 第五話の主人公は、大学は出たものの契約社員として働く30歳手前の女性。

 給料は15万円ほどしかなく、しかも学生時代に借りていた奨学金の返済が3万円あるので、生活はかなりカツカツで貯金もありません。

 彼女には親しい女友達がおり、その友達も正社員であるもののやはり給料は低く、やはり奨学金の返済で窮しています。

 未返済の奨学金という借金を抱えており、彼女たちは彼氏を作ることも、結婚することも諦めているのですが、ある日、「奨学金返済の裏技、教えます」というサイトを発見し、主人公はそのサイト主と接触しますが、サイト主が提案してきたものは・・・。

 
 まあ、返済の裏技については予想通りでしたが、実際、奨学金の返済で苦労している人たちは多いのでしょうね。

 奨学金を借りてまで大学を出たのに、正社員になれず不遇なアルバイトや契約社員にしかなれず、返済で生活もままならない。
 しかも、そんな夢も希望もない生活が完済までずっと続くのですから、結婚をあきらめる気持ちも分かります。

 
 ただ、ここで救世主が現れます。
 風水師としての仕事を捨てた第四話の主人公です。

 新たなスタートを切った第四話の主人公が、第五話に出てくる二人に手を差し伸べます。
 また、第四話の主人公が新たなスタートを切るために購入したヴィトンの財布が、第五話の二人に託されるのです。

 次はいよいよ最終話。
 やばい、もう終わっちゃう。
 でもどうなる?

 
【第六話・財布は踊る】

 最終話で、これまでの登場人物たちの行く末が明らかとなります。

 幸福を得た者、結果を出した者、当然の報いを受けた者、これから報いを受けることになる者。


 第一話の主人公の今後の決断が気になります。 

 そして、ヴィトンの財布ですが、これが三度、第一話の主人公の前に現れます。

 果たして、主人公の手元に戻るのか・・・。

 

 いや、楽しめました。

 この記事を書きつつ読み進めたので、半日以上の時間を本書に捧げることになりましたが、大満足です。

 

 
 終の棲家が気になるので読んでみたいですね。

 

おわりに

 お金に執着があろうとなかろうと、人は死ぬまでお金と関わることになるので、最低限のマネーリテラシーは必要です。

 そして、より多くのお金を、できるだけ早く得たいと思うなら、株や投資信託、ETFなどに投資しないと無理でしょう。

 ただ、現在、世界的に株安となっており、さらに下落する可能性もあると言われている中、投資に踏み切れるかはその人次第です。

 本書の第五話に出てくる奨学金返済に苦しむ2人の女性はともに投資を始めますが、コロナ禍を受け株価が大幅下落した際に異なる対応をとったため、その後の資産額に決定的な差が生じました。

 ただ、一方の選択が正しくて、他方が誤りだったとは言い切れません。
 
 本書に掛かれていますが、所詮、「結果論」なので。

 もし、株価が回復せず、そのまま下落していたら、二人の将来もまた全然違ったものだったでしょう。(共倒れしていた可能性も高いですね)

 投資に関心がある方は、先ずはリスクも含めてしっかりと勉強をしつつ軍資金を用意し、さらにそれを失っても何とかなるほどの貯金が出来てから開始して下さい。

 継続することが大切なので、よほどの理由がない限り、第三話の主人公のようなひと銘柄に全財産を注ぎ込むことは避けましょう。

 多くの書籍で分散が基本だと述べられています。
 かといって分散していても、私のように本年9月のひと月だけで600万円が溶けることも十分ありえるので注意して下さい。

 株価の低迷が続く場合、さらに資産が溶けていくと予想されますが、どこまでメンタルがもつものか・・・。 (;^_^A

 
 まぁ、私は独り身なので、破産しても最終的には生活保護などで何とか生き延びることはできるでしょうが、特に家庭のある方はよくよく考えて行動を起こしてください。

 覚悟と開き直りが大切だと思います。

 あと、大事なので覚えておくべきことがあります。
 それは・・・「投資の結果は全て自己責任」だということです!!

 

 私が利用している図書館では、著者の作品の8割が「貸し出し中」となっています。どれだけ人気があるんですか!? そして全部読み終えるまでにどれだけ待たないといけないんですか!!

 
 お金について勉強したい方は先ずはこちらをお読みください。

  

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