【セミリタイア生活と読書】原田ひ香『三千円の使いかた』を読んで

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 「2022年上半期ベストセラーランキング三冠達成」とのことです!

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本書のご紹介

本の写真

 

 本書の著者は原田ひ香さんです。

 SNSなどを探しましたが見付けることができなかったので、ウィキペディアで調べてみると、ドラマのプロットライターから小説家になられたみたいですね。

 

 なお、ネットで調べると著者のお姿を拝見できます。

 宣材写真?を見るとお綺麗な方です。
 ただ、その後はちょっと油断されているようですね。(;^_^A

 本書です。

 

本書のあらすじと読んだ感想

 なお、感想は全部読み終えてからではなく、各話を読み終えた直後にそれぞれ書いております。


〇第1話『三千円の使いかた』

 主人公は、大学を出てIT関連会社に就職し、東京の南側の街にある、家賃約10万円の1Kマンションで暮らしている女性。

 自分なりに描いていた理想に近い暮らしを送っていた主人公ですが、保護犬たちと出会い、犬を飼うためにはペット可のマンションまたは一軒家が必要だと認識します。

 調べると中古でも1千万は必要とのこと。
 しかし貯蓄などしてこなかった主人公の預貯金残高は・・・。

 そして姉により固定費の見直しなどのアドバイスを受けた主人公は、資産形成のセミナーを受けるなど、節約や資産形成に前向きに取り組み始めるのでした。


 うーん、特に感動はなかったです。

 尊敬する先輩が誹謗中傷を受けたりリストラされたり、また、恋人との考えの違いを知り別れを予感したりするのも、この後の流れとして必要なのでしょうか?
 


〇第2話『七十三歳のハローワーク』

 第2話の主人公は、第1話の主人公の祖母で、タイトルから73歳のようです。

 夫の生前は夫婦併せて年金が26万円弱ほどあって旅行も楽しめたのに、夫の死去で年金は8万円に大幅ダウン。

 その一方で旧友との旅行などの付き合いは変わらず、断れない主人公の貯金はどんどん減る一方。
 そこで、生活の足しにしたいとアルバイトを探し始めますが・・・。

 
 いやぁ、響きますね。

 73歳の時点で祖母の貯金は虎の子の1千万円の他に、数十万円。
 年金もあるので節約を徹底すれば逃げ切れる気もしますが、旅行などを楽しんできた73歳までの生活をいきなりダウンサイズするのは困難でしょうね。

 お金がどんどん減っていくことに不安を感じる様子や、体を壊したり認知症になったりして施設に入ることを考え、虎の子の1千万円に手を付けてはいけないと自分に言い聞かせる姿は、今の自分にとても重なります。

 そして将来の資産ショートに不安を感じた主人公は73歳にして仕事を探し求めますが、私もつい先日まで現金がどんどん減っていく状況に耐え切れずアルバイトをやっていました。

 現在は無職状態ですが、やがてまたアルバイト生活に戻るのでしょうね・・・。
 でも、この祖母のように前向きに生きたいと思います!

 
 
〇第3話『目指せ! 貯金一千万!』

 第3話の主人公は、第1話の主人公の姉です。
 巻末の解説文によれば姉は29歳となっています。

 貯蓄などに無頓着な妹と違って、姉は「目指せ! 1千万!」と表紙に掛かれた家計簿を付け続けており、まだ若くて決して多くない夫の収入を上手くやりくりして、年間100万円、現時点で600万円超を貯めています。(ちなみに妹の貯蓄額は○○万円!!)

 ただ、節約するために新婚旅行は国内で、子供も小さいため普段の旅行も大してできません。
 自分自身の小遣いも月に5千円としているので、おしゃれもできません。

 そんな主人公が友人たちとのランチに出掛け、友人のひとりが婚約したと知ります。
 お相手は普通のサラリーマンですが親が大金持ちで、友人の小指には大粒のダイヤが輝き、さらに夫婦の新居となる分譲のタワーマンションを買ってもらったとのこと。

 23歳にして結婚し、夫の安い給料をやりくしりしながらアパート暮らしする主人公は自分と友人を比較してしまい落ち込みます。

 ただ、後日、その幸せ溢れる友人が泣きながら主人公に電話してきて・・・。

 

 今回の主人公は、夫がまだ若くて薄給であり、子育てでパートもできないため、クレカを作ったりFX口座を開設するなどのポイ活などに勤しんでいたりしていて親近感がわきますね、 

 そして、お金に恵まれている人を素直に羨ましいと思ってしまうところも同感です。

 けれど、結論としては、何が幸せなのかはひとそれぞれなんですよね。

 私には若くして結婚し、かわいい子どもがいる家庭を築いている主人公が、たとえ生活が多少苦しかったとしても羨ましく思えました。

 ちなみ、 夫の給料の手取り23万円の給料に対する支出の内訳も具体的に記載されており、リアリティを感じました。
 ここから貯金として6万円を捻出しているのはすごいです。
 私も見習わなければ!(無収入なのでどうしようもないんですけど・・・・(;^_^A)

  

〇第4話『費用対効果』

 全6話なのでここから後半ですが、一気に読みたい一方で、読み終えるのが残念で読み進めたくない気にもなっています。

 とりあえず、第4話の主人公は、第2話の主人公であるおばあさんの男友だちです。
 主人公であるおばあさんとは偶然知り合ったのですが、40歳前なのにバイト暮らしのため、主人公の娘や孫たちは詐欺師などではないかと心配します。

 その彼にはしっかりした彼女がおり、彼女は彼と結婚したい、せめて子供が欲しいと彼に求めます。
 しかし、彼は他人の人生を背負ったり、家庭を持って責任を負うことを嫌がって前向きになれません。

  そんな彼に活を入れるのが第2話の主人公(おばあさん)です。(物理的な活も入れてます!)

 果たして、だらしない彼は性根を入れかえることができるのか!?

 

 むっちゃ面白いです。

 彼は第2話で受けた印象とは大きく異なり、結構なクズ野郎でした! (;^_^A
 そして、主人公は格好良過ぎです!!

 ただ、40歳になろうとしているのにブラブラしている彼が
  「自分は人生の落後者だ。でも、そこに満足しているので、たぶん、普通のところにはもう戻れない」
と考えていることには共感してしまいました。

 でも、私も彼も同じプータロー同士でありながら、彼だけがかなりモテる人生を送ってきたことに嫉妬せざるを得ませんでしたね! (# ゚Д゚)

 

〇第5話『熟年離婚の経済学』

 第5話の主人公は、第1話の主人公の母親です。
 ちなみに第1話の主人公を基準とすると、第2話が祖母、第3話が姉、第4話が祖母の男友達、第5話が母親、がそれぞれの主人公になります。

 内容ですが、主人公である母親は、同じく主婦である友人が離婚の話を進めていると知りショックを受けます。 

 確かに主人公自身も、家では家事を全くしない夫に不満はありますが、離婚なんて考えたこともなかったからです。

 ただ、その主人公にガンが見付かり、検査の結果次第では抗がん剤治療を続けることになることから、これまでの、そしてこれからの自分の人生について考え始めます。

 このままずっと、何もせず感謝もしない夫との関係を続けるべきなのか?

 そして検査の結果は!? 主人公が下した決断は・・・!?

 

 身近では聞いたことはないのですが、熟年離婚って少なくないようですね。

 私は独り者なので、何も言えません。

 既婚者の方々は大変だと思いますが、頑張って下さい!

 

〇第6話『節約家の人々』

 最終話の主人公は、第1話の娘さんになりますが、内容的には家族総出演という形です。

 第1話の主人公は新しい彼氏が出来て、互いに結婚も意識し始めます。
 ただ、その彼氏には学生時代に奨学金として背負った借金が500万円超あることが判明。
 利子もつくので20年ローンで返済すれば、返済総額は700万円を優に超えるそうです。

 動揺する主人公。
 そこで彼氏の家族の考えを聞いてみたいと、彼氏の家族と会ってみますが、おおらかというか無頓着というか、息子の借金など全くの無関心に見えます。

 そんな彼氏との結婚に反対する母親、判断は主人公本人に委ねようとする父親、親子でじっくり話し合えと助言する祖母。

 果たして、主人公と彼氏の行く末は・・・!?

  

 うーん、最後はきれいにまとまり過ぎではないですか?

 例え相手が500万円超の借金を抱えていたとしても、良い性格で有職者なら、互いに愛し合っているのなら問題ないでしょうか?
 自分が親だったら結婚に向けて背中を押してやれますか?
 そして本当に心から祝福できますか?


 最後の最後だけ腑に落ちませんでした。

 とにかく、我が身を守るため、家族を守るためには十分なお金が必要だという結論には至りました。

 
 
 
  こちらも読んでみたいですね。

 

本書を読んだ感想

 総じて面白かったです。

 第1話を読み終えた後の物足りなさ、不完全燃焼感は最終話につなげるためのものであり、見事に著者の狙いにハマってしまいましたが、最終的に素敵な読後感を得させてもらいました。

 大変な戦中・戦後を乗り越えてきた祖母、大病を患ったことを機に、55歳で自分だけを犠牲にしない新しい夫婦のあり方に舵を切る強さを見せた母親、そして若くして家庭を持ち、多くない給料ながら節約してしっかり資産を形成しているしっかりものの姉がいるのですから、第1話の主人公の将来は決して悪いものではないでしょう。

 「2022年上半期ベストセラーランキング三冠達成」とのことですが、やはり世間は美談を求めているのでしょうね。

 確かに多くの人が満足しそうな美しいオチでした。

  
     

 
 本書です。

 
 次はこちらを読む予定です。

  
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