歴史の教科書だけで学んだシルクロードの世界です。
本書のご紹介
『深夜特急1 香港・マカオ』、『深夜特急2 マレー半島・シンガポール』、『深夜特急3 インド・ネパール』に続く4巻目で、舞台は歴史の教科書でしか知らないシルクロードです。
その名のとおり、かつては絹の道だったのでしょうが、本書の主人公ガ歩いた時代はどうだったのでしょう。
本書です。
文庫版の全6巻セットです。一気に読むことになるので、どうせ買うならセットでどうぞ。
本書を読んだ感想
歴史の授業で学んだシルクロードです。
先ず、第4巻のスタートはインドから。
そして、すぐに水痘か天然痘かを抱えている赤ん坊の描写が出てきます。
その子が笑顔で寄ってきますが、あなたなら抱っこしてあげますか?
自分なら抱きかかえることはできないと思います。
実際、同じスペースに居合わせている以上、抱こうが抱くまいが、病気が移るという可能性に大きな差はないかもしれませんし、主人公はそう思い抱きかかえます。
まさに『諦観』の域ですね。
パキスタンのバスの描写もすごかった。
私だったら、すぐに下車したいと思います。
また、アフガニスタン側の国境の役人が『セイコー製の時計』との交換を求めるシーンは、不快感を覚える一方で、日本人としての誇りも感じました。
さすがに、もうセイコー神話はなくなっているでしょうが。
そして、これまでの深夜特急シリーズでは、旅行者にお金をたかる子どもや大人の描写がたびたび出てきましたが、ずっと拒み続けた主人の方針が本書で定まります。
すなわち、「やりたい時にやり、恵みたくない時には恵まなければいい」と。
そうして所持金が尽きてしまい自身が物乞いの身に落ちたら、それはそれまで。
今度は自分が物乞いとなり、人が恵んでくれたらラッキー、恵まれなければ飢えて死ぬのみという現実を受け入れるだけだと考えるのです。
やはり、諦観こそが人生には大切なのかも知れません。
そして本書のラストに真実がありました
本書本編の最後のページに真実が記載されていました。
私にとってあまりにも厳しいものでした。
それは『カーブース・ナーメ』という書の一節で、以下のとおり。
「若いうちは若者らしく、年をとったら年寄りらしくせよ」
「老いたら一つ場所に落ち着くよう心掛けよ。老いて旅するは賢明でない。特に資力ない者にはそうである。老齢は敵であり、貧困もまた敵である。そこで二人の敵と旅するは賢くなかろう。」
これが事実であり真実なのでしょう。
本書を読む前から、また本書を読みながら放浪の旅への憧れを抱いてきましたが、厳しいのでしょうね。
何歳から老いたとするのか問題はありますが、気力や体力が若い人と比べて格段に落ちているのは明らかですし、頭の回転も相当落ちています。
やはり、終の棲家を見付けましょう。
せめてその場所を探す過程を旅と称して楽しみましょう。
本書です。
文庫版の全6巻セットです。
ペルシア逸話集です。「人は教養がないかぎり役に立たない」「敵をつくらぬように努力せよ。だが敵がいても、恐れたり悲しむな。敵がいない人は敵の意のままになりやすい」などの教えは下手な自己啓発本よりも役立ちそう。
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