
『ソロハイカー』と名乗っておきながら、山にも登らずハイクもしない。
そんな自分を奮い立たせるべく山関係の小説を読んでいますが、その続きです。
本書のご案内
北村薫さんは多くの作品を出されていますし、受賞歴もかなりあるのでご存じの方も多いのではないでしょうか。
私もはるか昔、最後の一文を読んで「なんて美しい表現なんだ」と感動した作品があったのですが、その著者が北村薫さんだった気がします。
そのタイトルも、どんな表現だったかも忘れてしまい、思い出せないのが残念。
確か女性が主人公で、最後に風が吹いたのか、雪が舞った感じだったような・・・。
とりあえず、本書は雑誌の編集長として働く女性主人公が、数日から1週間近くの休みを取って山行を楽しむもので、そこに元恋人への思いや、知人や山仲間たちとの交流なども織り交ぜられています。
本書を読んだ感想
舞台は主に北アルプスです。
私も登山をやりますが、私にとって日本アルプスは憧れの地。
セミリタイアを果たしたら、車中泊の旅をしながら北、中央、南それぞれの山々を心ゆくまで堪能しようと思っていました。
結局、セミリタイアして2年になりますが、コロナ禍かつ加齢による気力の低下のため、未だ行けずにいます。
そこで、山への思いを取り戻させて欲しいと選んだのが本書です。
結論とすれば、私にちょうど良い内容でした。
主人公は山好きですが、仕事が忙しく、年齢もあって、アルプスの山々をガンガン制するタイプではありません。
時には体調不良により登頂を断念することも。
熱い山岳小説ならそれに耐えても頂きを目指すのでしょうが、本書の主人公は編集長としての仕事を抱えているので無理はしません。
もちろん、本書の中でも、脚を痛めながら「せっかくの機会だから」と下山せず、山頂を目指す人物が出てきますが、気持ちは分かるものの無理は禁物です。
また、山行のための準備シーンもリアルで良い感じです。
山に向かう前に、何を持っていこう、これは置いていくか、これだけは譲れないなど、軽量化と快適さとのせめぎ合いという葛藤が実は楽しいんですよね。
主人公は心の安定剤として本を数冊、必ず持っていきますし、心と体を癒やすお菓子類も結構な量を担いでいくのですが、私にはその考えが無かったのですごいなと感じました。
あと、山小屋での食事シーンも楽しめました。
そこまで焦点を当てて詳細に書いてあるわけではないのですが、山で温かいご馳走を食べられたら大感激ですね。
まあ、以前の私は「美味しいものは下山してから食べればいい」と思っており、山ではアルファ米やフリーズドライの味噌汁、ビーフジャーキーなどで済ませていました。(お酒は多めでしたが ^^;)
ということで、伝説の登山家やクライマーが主人公ではない、ごく普通の女性が主人公である本書を選んで正解でした。
ただ、ごく普通と書きましたが、主人公は常念岳の他、あの槍ヶ岳にも登頂しています。
私も「いつか槍ヶ岳や穂高へ」との憧れがあるのですが、調べるほどその難易度と危険性の高さに気後れする始末。
来年、チャレンジすると思いますが、そばまで行って結局断念する予感がします。
とりあえず、山に対する憧れ、準備の楽しさ、山行のキツさ、ソロの気軽さと寂しさ、悪天候への恐れ、出会った人の温かさ、山小屋のありがたさ。
これらを感じることができて良かったです。
さいごに
アルプスの山に登ったことがなく、山小屋の利用経験は富士山に登った時だけです。
本書の主人公は女性ということもあり、テント泊はせず山小屋泊が基本となっています。
描かれているように山小屋では暖かい暖房、美味しい食事、温かい布団、冷えたビールなどが揃っており、いつか私も利用したいと思うのですが、当然、相応の費用がかかるのでどうしたものか。
結局、テントを担いでいくことになりそうです。
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